コンサート解説
ベルナルド・ハイティンクが初めてベルリン・フィルを指揮したのは、1964年3月12日のことでした。共演50周年にあたる記念すべきこの定期演奏会では、ウィーン古典派に定評のあるアメリカ人ピアニスト、エマニュエル・アックスをソリストに迎えます。
今回彼が弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第9番《ジェナミー》は、1777年、ピアニストのルイーゼ・ヴィクトリア・ジェナミーのために書かれました。当時21歳だったモーツァルトは、この技巧的な作品によりピアノ協奏曲の新スタンダードを確立。曲の冒頭でソリストとオーケストラが対話を交わすのは当時としては異例で、モーツァルトの慣習にとらわれない創作への意思を示していると言えるでしょう。
後半はブルックナーの交響曲第4番。《ロマンティック》の愛称で知られ、ブルックナーの交響曲の中でもっとも頻繁に演奏されるこの作品は、冒頭のホルンをはじめ、美しいメロディーに満ちています。ハイティンクは1996年にベルリン・フィルとこの作品を演奏しており、今回は18年ぶりとなります。