コンサート解説
キリル・ペトレンコがベルリン・フィルにデビューしたのは、2006年のことですが、この時はラフマニノフとバルトークという東欧系のプログラムを指揮しています。一方、2回目の当客演時には、エルガーの交響曲第2番、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番というイギリス、ドイツの作品を選びました。ドイツではポピュラーとは言えないエルガーを選んだあたりに、ペトレンコの主張が感じられるでしょう。この作品は、ベルリン・フィルでは、何と1972年以来初めての上演となっています。
ベートーヴェンはピアノ協奏曲第3番で、ハ短調という当時のコンチェルトとしては特殊な調を選択しました。このキーは、彼の作品のなかで特殊な意味を持っていますが、後の《運命》を彷彿とさせるドラマチックな曲想を備えています。独奏を受け持つラルス・フォークトは、2003/04年シーズンには、ベルリン・フィルのピアニスト・イン・レジデンスを務めました。当楽団にとっては、すでにオールド・フレンドと呼べるソリストのひとりです。