コンサート

コンサート解説

オランダの名指揮者、ベルナルド・ハイティンクが1961年にロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席指揮者に就任した時、ヴィレム・メンゲルベルクに端を発するオランダのマーラー演奏の伝統は、ナチスの独裁時代と第2次世界大戦を経て色褪せたものとなっていました。「私の故国では1945年までマーラーの上演は禁止されていました。マーラー演奏の伝統はもはやなくなり、その音楽はまったく新しいものだったのです」とハイティンクは語ります。彼は就任当初からマーラーの作品を積極的に取り上げ、1960年代初頭からのマーラー・ルネッサンスに大きく貢献。マーラー指揮者としての名声を不動のものとしました。

そのハイティンクが今回マーラーの交響曲第9番を指揮しました。作曲家の死後に行われた初演以降、この交響曲が「告別」や「死」という概念と密接に結びつけられてきたのも故なきことではありません。この曲を指揮することは大きな挑戦だとハイティンクは語ります。「マーラーの演奏で重要なことは、デュナーミクの差を明確に付けることです。すべてをメゾフォルテでドロドロに似たおかゆのような状態になってしまってはいけません。かつてカラヤンは『一つの作品にクライマックスは一つしかない』と言いました。そこに行くまでに撃ちつくさないことが大事なのだと」。ハイティンクがマーラーの最高傑作に数えられる大作を指揮する今回の機会では、彼のこれまでの集大成ともいえる芸術的な成果が聴かれます。

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