内田光子(聞き手:トビアス・メラー)

内田光子は、ベルリン・フィルが特に緊密な関係を保っているピアニストと言えるでしょう。過去に「ピアニスト・イン・レジデンス」としてベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏しただけでなく、近年はサー・サイモン・ラトルとモーツァルトのコンチェルトを継続的に取り上げています。今回演奏されたのは、モーツァルトの白鳥の歌とでも呼ぶべき第27番。柔らかな色彩と枯淡なメランコリーに満ち、聴き手を憂愁の世界に誘います。内田の細やかなフレージングやタッチに魅了される演奏です。一方、ウォルトンのヴィオラ協奏曲では、ベルリン・フィルの第1ヴィオラ奏者アミハイ・グロスがソロを聴かせます。同作は、バルトークと並んでヴィオラ・コンチェルトの傑作として知られています。プログラムの最後は、ラトルお得意の《ハーリ・ヤーノシュ》組曲。チェコ、モラヴィア、ハンガリーといった東欧(旧オーストリア領)の作品に傾倒する彼ならではの、色彩美に溢れる演奏となっています。聞き手のトビアス・メラーは、デジタル・コンサートホールの制作チームに属しています。

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