コンサート

コンサート解説

バーデン=バーデン・イースター音楽祭の《マノン・レスコー》が、デジタル・コンサートホールで中継されました。サー・サイモン・ラトルにとっては最初のプッチーニ。ベルリン・フィルがこの作曲家を演奏するのは、約25年ぶりのことでした。演出は、英国のサー・リチャード・アイルが担当しています。

プッチーニのオペラ《マノン・レスコー》は、アベ・プレヴォーの小説《騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語》を元にした作品です。真実の愛と贅沢への欲望との間を揺れ動くマノン・レスコーの生き様は、作曲家の創作意欲に火を付けました。当時35歳のプッチーニは、1893年に初演されたこの作品で、同時代の代表的なオペラ作曲家への仲間入りを果たしたのです。同じ原作を基にしたマスネによるオペラがすでに大きな成功を収めていましたが、あふれんばかりの情熱とドラマ、うっとりするようなメロディーと色彩的なオーケストレーションによって、プッチーニはその独創性を開花させました。

マノン・レスコー役を歌うのはエヴァ=マリア・ウェストブレーク。オランダ出身の彼女は、ワーグナーの《ワルキューレ》のジークリンデ役で、2005年と12年にベルリン・フィルに登場。さらに2007年と08年には、エクサン・プロヴァンスとザルツブルクでも共演し、抒情とドラマ性を兼ね備えた歌唱で評価を得ました。マノンの恋人デ・グリュー役は、ナポリ生まれのマッシモ・ジョルダーノ。現代を代表するスピント・テノールのひとりです。強力な顔ぶれによるプッチーニを、どうぞお楽しみください。

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