コンサート

コンサート解説

ベルリオーズの《ファウストの劫罰》は、作曲家自身がテキストを書き、シェークスピア的な手法で登場人物の情熱と奇怪さに焦点を当てて完成させた大作です。「私はゲーテの原作の枠組みに忠実に従おうとは思わなかった」とベルリオーズが語ったように、ゲーテの原作にはない創作も盛り込まれ、ジャンルの上ではオペラと合唱交響曲の間を揺れ動く作品と呼べるでしょう。ベルリオーズの創作のファンタジーは、バイロン風のメランコリックな人物として描かれたファウストよりも少女マルグリートに向けられており、メフィストフェレスや悪魔たちが絡んでの劇的効果は比類がありません。

後世に大きな影響を与えたベルリオーズの理論書『近代の楽器法と管弦楽法』(1843年)を著した直後に完成されたこの作品は、オーケストレーションの色彩の豊かさにおいて際立っています。通常はなおざりにされがちな金管楽器の低音域にメフィストフェレスの身の毛のよだつような不吉な音が与えられ、バレエ音楽における極めて優美な木管楽器の音楽も聴きものです。サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる上演では、英タイムズ紙に「比較不可能な神の声」と評されたメゾソプラノのジョイス・ディドナート(マルグリート)、テノールのチャールズ・カストロノーヴァ(ファウスト)、リリックバリトンのリュドヴォク・テジエ(メフィストフェレス)らのソリストのほか、ベルリン放送合唱団を加えた理想的な布陣が勢揃いしています。

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