ビシュコフがR・シュトラウス《英雄の生涯》を指揮。G・カプソンがショスタコーヴィチで登場

セミヨン・ビシュコフ指揮のこの演奏会では、R・シュトラウスの《英雄の生涯》が上演されています。ビシュコフは、この作曲家に深い愛情を抱き、既に《エレクトラ》、《ダフネ》等のオペラ、「家庭交響曲」、「アルプス交響曲」等のシンフォニーを録音しています。ベルリン・フィルでも過去に《ドン・キホーテ》を振った経験があり、今回の《英雄の生涯》は真打ちのレパートリーと呼べるでしょう。なお、ショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第1番」で登場するのは、フランスの若手ゴーティエ・カプソンです。

「死刑を待つことは、私の人生を苦しめ続けた主題の一つだ。私の音楽の多くはそれについて語っている」とショスタコーヴィチは晩年、ある友人にこう打ち明けたと言われています。セミヨン・ビシュコフが指揮する今回の演奏会では、1959年に作曲されたチェロ協奏曲第1番が取り上げられます。これは、それまでソ連の作曲家同盟に「民衆の敵」と非難されたショスタコーヴィチが、レーニン賞を授賞した後に書かれた作品です。公式には名誉回復したものの、当時彼は「私の過去は抹消された」と希望を失っていました。このチェロ協奏曲は作曲家の生への不安が反映されており、主要モチーフはショスタコーヴィチのイニシャルD-Es-C-Hから派生したものです。フランスの若手ゴーティエ・カプソンがソロを務めています。

ショスタコーヴィチに比べて、リヒャルト・シュトラウスは、20世紀の政治の悲劇がもたらした苦しみと関わらないための才覚をより有していたと言えるでしょう。例えば1945年、アメリカ兵がガルミッシュのシュトラウスの邸宅にやって来た際、かつてナチスの帝国音楽院の総裁だった彼は「私は《ばらの騎士》の作曲家です」と説明して差し押さえを免れたのでした。その46年前にシュトラウスが作曲した《英雄の生涯》は、作曲家自身とその妻、批評家一味などを自伝的に描いた交響詩で、後半では過去の自作が次々に引用されます。ビシュコフは、この作曲家に深い愛情を抱いており、ベルリン・フィルとは既に《ドン・キホーテ》で共演しています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
セミヨン・ビシュコフ
ゴーティエ・カプソン

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アーティスト

セミヨン・ビシュコフ 指揮
ディミトリ・ショスタコーヴィチ 作曲
ゴーティエ・カプソン チェロ
パブロ・カザルス 作曲
リヒャルト・シュトラウス 作曲

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