コンサート

コンサート解説

この定期演奏会に客演したのは、当時86歳のヘルベルト・ブロムシュテット。彼は自分の音楽への信条をこう話しています。「語るべきは音楽です。音楽ができるだけ多く、私はできるだけ少なく語る。それが私の役割だと考えています」。そのような誠実な仕事が評価され、ブロムシュテットはドレスデン・シュターツカペレ、サンフランシスコ交響楽団、北ドイツ放送交響楽団、ランプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団など名門オーケストラの音楽監督を歴任してきました。

ベルリン・フィルにはこれまで定期的に客演し、中でもブルックナーの交響曲を頻繁に指揮してきたブロムシュテットですが、ここで取り上げたのはベルリオーズの幻想交響曲。これはベルリオーズ自身の失恋体験を元にしたドラマチックな標題音楽であり、第3楽章では舞台裏からオーボエと鐘が奏でられ、音楽空間に広がりがもたらされます。極めて劇的でおどろおどろしい終楽章「魔女の夜宴の夢」について、1843年「一般音楽新聞」は「この音楽に比べると、《魔弾の射手》の狼谷の音楽は子守唄に過ぎない」と伝えました。

当夜のもう一つのプログラム、ヒンデミットの交響曲《画家マティス》は、1934年3月12日にフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルによって初演された作品です。16世紀ドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトの「イーゼンハイム祭壇画」の3つの作品が各楽章の題材になっており、ヒンデミットは初演のプログラムで「音楽の素材を使って、絵画の鑑賞者が喚起するのと同じ感情に近づけたかった」と書いています。 

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