コンサート

コンサート解説

ピエール・ブーレーズの《ノタシオン》は12曲から成る短いピアノ作品集で、1985年より「進行過程にある作品」としてオーケストラ用に編曲されています。これほど長期に渡る関心を持ち続けながらも、いまだこのオーケストラ版が完成していないことについて、ブーレーズはこう語っています。「私はプルーストのように、相互の関連性が明確でないまま、同じ素材を繰り返し使うのが好きなのです。『よし、これで完成だ』と言って終わる作品を書くことは、私の場合稀です」。今回の公演では、学生時代からブーレーズとの交流を持つサー・サイモン・ラトル指揮のベルリン・フィルが、《ノタシオン》の管弦楽版からの抜粋を演奏します。

「進行過程にある作品」といえば、度々改訂がなされたブルックナーの交響曲についても言えるのではないでしょうか。もっとも、その改訂作業は大抵の場合自己の衝動から行われたものではありませんでした。それだけに、交響曲第7番がウィーンの初演で大成功を収めたことは、ブルックナーに大きな満足感を与えたに違いありません。彼は自身の感動の様子をこう記しています。「第1楽章の後、すでに5、6回のカーテンコール。フィナーレの後は、いつ果てるともない嵐のような熱狂とカーテンコールが続いた。ワーグナー協会からの月桂冠、そして記念銘」。この作品にただ一つの版しか存在しないのは、不思議なことではなかったのです。2013年秋の来日公演と同じプログラムとなった当公演をどうぞお楽しみください。

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