ラトルとバレンボイムがバルトークの第1協奏曲で共演。後半はヤナーチェク「シンフォニエッタ」

チェコ・モラヴィア・ハンガリーの作品を集めた本プロは、ドヴォルザーク「スラブ舞曲集」で雰囲気豊かに開幕します。目玉は、ラトルによるヤナーチェク「シンフォニエッタ」。彼はこの作曲家に特別の愛情を抱き、すでに《利口な女狐の物語》、《イェヌーファ》、グラゴル・ミサなどを取り上げていますが、シンフォニエッタをベルリン・フィルで指揮するのは2007年以来久々となります。またバルトークのピアノ協奏曲第1番では、ダニエル・バレンボイムがソリストとして登場。同曲は彼があらゆる機会で演奏している十八番と呼ぶべき作品で、そのリズミカルで打楽器的な書法はラトルの持ち味とも一致します。

ダニエル・バレンボイムとベルリン・フィルとの長い芸術的パートナーシップは、バルトークのピアノ協奏曲第1番から始まりました。1964年6月、ブーレーズ指揮ベルリン・フィルとの初共演で彼にこの曲を弾くよう強く勧めたのは、当時楽団のインテンダントだったヴォルフガング・シュトレーゼマンでした。バレンボイムは早速楽譜を取り寄せ、当時まだ演奏されるのが稀だったこの協奏曲にすぐに愛着を抱くようになります。バルトークはこの第1ピアノ協奏曲を古典的な3楽章形式で書きましたが、ピアノの役割はそれまでの協奏曲とまったく異なります。ピアノを打楽器として位置づけ、エネルギーに満ちた舞踏的な性格をこの楽器に与えたからです。バレンボイムは以来頻繁にベルリン・フィルに客演してきましたが、この協奏曲をソリストとしてベルリン・フィルと共演するのは1964年以来今回が初めてです。

サー・サイモン・ラトル指揮の当演奏会では、このほかドヴォルザークのスラブ舞曲集 op.72が取り上げられます。ドヴォルザークは第1集にあたるスラブ舞曲集 op.46で国際的な名声を獲得しますが、その数年後に発表したこの第2集ではチェコ以外のスラブ地域の舞曲も取り入れました。第1集に比べて、メランコリックで内向的な曲を収めているのが特徴といえます。ラトルとベルリン・フィルはこれらの作品を単独では頻繁に演奏してきましたが、第2集をまとめて取り上げるのは稀です。

メインの演目は、チェコを代表するもう一人の作曲家、ヤナーチェクのシンフォニエッタ。ラトルはこの作曲家に特別の愛情を抱き、すでに《利口な女狐の物語》、《イェヌーファ》、グラゴル・ミサなどを取り上げてきましたが、シンフォニエッタをベルリン・フィルで指揮するのは2007年以来久々となります。金管楽器による輝かしい冒頭のファンファーレは、1926年に「ソコル」体育協会の祭典のために書かれ、ヤナーチェクは後に5楽章の管弦楽作品へと拡張させました。当時建国間もないチェコスロバキアへの愛国心と彼の故郷のブルノへのオマージュが込められたこの作品は、フィナーレに至るまで力強く、熱狂的に鳴り響きます。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル
ダニエル・バレンボイム

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アーティスト

サー・サイモン・ラトル 首席指揮者 (在任期間 2002-2018)
アントニン・ドヴォルザーク 作曲
ベラ・バルトーク 作曲
ダニエル・バレンボイム 指揮、ピアノ
レオシュ・ヤナーチェク 作曲

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