コンサート

コンサート解説

ブルックナーの交響曲第9番は未完に終わりましたが、作曲家自身が3楽章での上演を望んでいなかったことは彼の手紙や証言からも明らかです。サー・サイモン・ラトルは、「ブルックナーはあと2ヵ月長生きしていれば、交響曲第9番を完成させていただろう」と語っています。1983年から2010年にかけて、サマーレ、フィリップス、コールス、マッズーカという4人の作曲家/音楽学者による複雑な工程を経て完成した補筆版は、その集大成と呼べる成果です。コールスはこのように語ります。「(フィナーレは)全部で653小節。440小節はブルックナーのスコアに符合し、うち208小節は完全にオーケストレーションも施されている。他の117小節は彼のスケッチなどから再生でき、96小節は音楽的な類推技術を使って勝ち取らねばなからなかった。まったくブルックナーの手によらないのはわずか37小節に過ぎない。この上演版は、例えばモーツァルトの「レクイエム」に比べると、異質な要素が入り込む要素ははるかに少ないのだ」。

この補筆版の出来にラトルは大いに満足し、2011年10月と12年2月にベルリンで初めて取り上げた後、ニューヨークのカーネギーホールでも指揮。大きな話題を呼びました。ラトルは首席指揮者としての最終シーズンでこの曲の再演を希望。ラトル時代を代表する名演の一つとなりました。一方、プログラムの冒頭では、ハンス・アブラハムセンの「管弦楽のための3つの小品」が初演されています。

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