コープマンがバッハ「ミサ曲ロ短調」を指揮
オランダの古楽指揮者、チェンバリスト、オルガニストのトン・コープマンが、バッハのミサ曲ロ短調を指揮しました。当作は、バッハが自己の芸術の到達点としてより普遍的なラテン語のミサ定型文に作曲したものであり、彼の強い思い入れが表れていると考えられています。コープマンは、すでに2010年1月にベルリン・フィルでバッハ作品を取り上げていますが、今回は大作での登場。生き生きとした、生気溢れるバッハを聴かせています。
ヨハン・セバスティアン・バッハのミサ曲ロ短調は、バッハの最後の声楽曲という枠に留まらず、西洋音楽の最高峰の遺産と呼べるものです。プロテスタントの作曲家である彼がラテン語のミサ定型文に作曲したことで、普遍的かつ超宗派的な価値を持つ作品を成し遂げたのです。この大規模なミサ曲は、バッハがそれまでの数十年間に渡って書いた素材を用いてまとめ上げたもので、対位法を駆使した厳粛な曲から協奏曲風の軽さを持つものまで、その音楽様式の多様性には驚くべきものがあります。
生前のバッハがこのロ短調ミサを通して聴いたことは、おそらく一度もありませんでした。教会の礼拝のために上演するには長過ぎたため、本格的な再評価が始まったのは19世紀初頭にベルリン・ジングアカデミーが主導した「バッハ・ルネサンス」以降のことです。ベルリン・フィルは1885年の作曲家の生誕200周年の機会にこの作品を初めて上演し、戦後は1985年まで毎年のように演奏していましたが、それ以降は1999年のクラウディオ・アバド指揮と2006年のロジャー・ノリントン指揮による上演しかありません。
今回指揮したのは、オランダの古楽指揮者、チェンバリスト、オルガニストのトン・コープマン。ベルリン・フィルには2010年に、やはりバッハとハイドンの作品でデビューしています。バッハを歌う合唱団としては世界屈指の存在である、リアス室内合唱団との共演でお聴きください。
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