コンサート

コンサート解説

モーツァルトのミサ曲ハ短調は、未完に終わった大作です。1783年にザルツブルクで行われた初演では、この曲のために書かれた部分以外に、他のミサ曲のために書かれたと思われるオーケストラ譜も転用されました。その2年後、モーツァルトはこのミサ曲の断章を土台にして、オラトリオ《悔悟するダヴィデ》を作曲しています。このような作品の再利用はモーツァルトの音楽によく見られますが、それによって作風の幅を広げることにもなったのでした。この大ミサ曲では、バッハやヘンデルの音楽を想起させるバロック的な厳粛な技法と、イタリア・オペラ風の華麗な要素が見事に統一されています。

このミサ曲のソプラノ・パートの一つを、モーツァルトがその少し前に結婚したコンスタンツェのために書いたことは明確です。というのも、1783年10月、姉のナンネルがミサ曲のリハーサルに関して「この曲で義理の妹がソロを歌う」と手紙の中で報告しているからです。音楽学者のアルフレート・アインシュタインは、シチリアーノ風に歌われるソプラノ・ソロの「エト・インカルナトゥス・エスト」を、「モーツァルトがとりわけ妻のために書いたパッセージの中でもっとも美しいものの一つ」と讃えました。

ダニエル・ハーディング指揮のオール・モーツァルトのプログラムでは、前半に交響曲第32番、さらに2曲のコンサート・アリアが取り上げられています。ミサ曲では世界的合唱団として知られる、スウェーデン放送合唱団との共演をお楽しみいただけます。

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