コンサート

コンサート解説

ブルックナーの交響曲第9番は、その初演当時から同じニ短調という調性ゆえ、ベートーヴェンの交響曲第9番と結びつけられてきました。ブルックナー自身は「ニ短調を選んだのは、何より自分が好きな調性だったから」と語っています。しかし、第3楽章の第2主題を導く柔らかなコラールを「生への告別」と述べていることからも明らかなように、ベートーヴェンの「第9」同様、今生の別れの作品となったのです。

結果的に未完に終わったものの、ブルックナーは交響曲第9番の中で自身のこれまでの交響曲で得た成果をまとめあげました。ダイナミックなコントラストが貫かれており、フルオーケストラの響きを味わう妙味に満ちています。オルガンの影響を受けたオーケストレーションは、ゴシック様式の壮大な大聖堂を思わせるもので、和声や不協和音の扱いは、恍惚と悲劇的な崩壊との間を揺れ動く葛藤を想起させます。それは後のマーラーに続く道を指し示したものと言えるでしょう。

コンサートの前半では、アメリカ人作曲家ジョージ・クラムが1970年に作曲したリーダー・チクルス《子供たちのいにしえの声》が演奏されます。フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩に曲付けした、ドラマチックな作風を持つ歌曲集です。今回の指揮は、ベルリン・フィルと半世紀の友好関係で結ばれているズービン・メータ。そして、コロラトゥーラのみならず、現代音楽の解釈にも定評のあるソプラノのマルリス・ペーターゼンが独唱を務めています。

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