ドイツ大統領主催ユニセフ募金ガラ。メータ指揮、ズーカーマンが久々の登場

近年さかんに取り上げられるようになったエルガーのヴァイオリン協奏曲は、作曲者が「あまりにもエモーショナルな作品」と呼んでいます。ここでソロを務めたのは、10年ぶりにベルリン・フィルに登場したピンカス・ズーカーマンです。指揮を担当するのは、彼の長年の友人であるズービン・メータ。彼はプログラムの後半では、同じくエモーショナルな美感に満ちたチャイコフスキーの交響曲第5番を振っています。なお当演奏会は、退任するドイツ連邦共和国大統領ヨアヒム・ガウクが主催する最後のユニセフ募金演奏会でした。

R・シュトラウスはエルガーを指して「英国で初めての革新的音楽家」と呼びました。1857年生まれのエルガーは、40代前半ですでに《エニグマ変奏曲》やオラトリオ《ゲオンティアスの夢》などの作品で名声を博し、1930年に完成した《威風堂々》はこの作曲家の代名詞的な存在になっています。ズービン・メータ指揮による今回の演奏会で取り上げられるのは、1910年にフリッツ・クライスラーによって初演されたヴァイオリン協奏曲。これはエルガーの器楽曲の中で最長(約50分)の作品であり、後期ロマン派の土台の上に活力と高揚がみなぎっています。エルガー自身は「あまりにもエモーショナルだが、私はこの作品を愛する」と語っています。ソロを務めたのは、メータの長年の友人であり、10年ぶりにベルリン・フィルに登場したピンカス・ズーカーマンです。

プログラムの後半は、チャイコフスキーの交響曲第5番です。エルガーの作品同様、同じくエモーショナルな美感に満ちた作品ですが、1888年にサンクトペテルブルクで行われた初演では、批評家に「通俗的な効果を狙っている」などと酷評され、作曲家は創作の危機に陥ります。しかし、翌89年初頭にハンブルクで行われた上演は成功裡に終わり、チャイコフスキー自身もこの自作に愛着を見出すようになりました。第1楽章の冒頭でクラリネットによって提示される「運命の動機」が作品全体を緊密に結びつけ、フィナーレでは劇的な盛り上がりを見せます。若き頃からこの交響曲を何度も取り上げてきた巨匠メータの指揮でお楽しみください。

なお当演奏会は、退任するドイツ連邦共和国大統領ヨアヒム・ガウクが主催する最後のユニセフ募金演奏会でした。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ズービン・メータ
ピンカス・ズーカーマン

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