コンサート

コンサート解説

パーヴォ・ヤルヴィは、ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団とのベートーヴェン・チクルスで高い評価を獲得しました。久々に登場したこの時のベルリン・フィルの定期演奏会でも、ベートーヴェンの交響曲が取り上げられています。交響曲第1番は不協和音の七の和音で始まりますが、それは聴き手に作品の基本音を提示するのではなく、聴き手のハーモニー感覚を幻惑させる効果を持っています。この種の緊張感に満ちた冒頭は、交響曲の歴史で初めてのことでした。当作品は1800年4月2日に初演されましたが、ベートーヴェンは世紀の始まりに際し、交響曲というジャンルが新たな段階に入ったことを最初の小節で示そうとしたのかもしれません。

続くパウル・ヒンデミットのヴァイオリン協奏曲は、叙情豊かな旋律で知られています。時々メランコリックな表情を帯び、暗い音色の中からソロ・ヴァイオリンの明朗な歌が、何度も浮かび上がります。ヒンデミットがアメリカに亡命する直前の1939年夏に書かれたこの作品は、ストラヴィヴァリウスを奏でるフランク・ペーター・ツィンマーマンの演奏でお聴きいただけます。

最後はシベリウスの交響曲第5番。1915年12月8日の初演以来、高い人気を保ってきた作品です。シベリウスは作曲の最中、日記にこう記しています。「今日11時10分前に16羽の白鳥を見た。私の人生においてもっとも感動的な体験の一つだ。その鳴き声は鶴のような木管楽器の類いだが、トレモロがない。(中略)静かに繰り返す様は、小さな子どもの泣き声に似ている。自然の神秘と世界の苦しみ!第5交響曲のフィナーレのテーマ、すなわちトランペットのレガート!」。

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