コンサート

コンサート解説

クリスティアン・ティーレマンがベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」を指揮しました。この曲は、作曲家最晩年の大作であると同時に、解釈が非常に難しいことでも知られますが、それだけに指揮者の力量が問われます。演奏は、「ドイツ的で重厚な演奏をする」という風評とは裏腹に、むしろ早めとも言えるテンポ。意外にも、流れと明快さを意識した解釈となっています。

ベートーヴェンは、親交の深かったルドルフ大公の大司教就任祝いにこのミサ曲を書き始めましたが、結局それには間に合わず、就任から4年後にようやく全曲が初演されました。それは何より、この作曲家がミサ曲という枠組みを超える作品を生み出すべく格闘していたからといえるでしょう。実際完成したのは、カトリックの典礼、ドラマチックな表現力、瞑想的な祈り、賛歌のような表現、古風な要素、交響曲的な構成といったものを一つにまとめ上げた記念碑的な芸術作品でした。ベートーヴェンがこの作品をミサ曲以上のものと見ていたことは確かで、ゲーテとツェルターに宛てた手紙では「オラトリオとしても演奏し得る」と書いています。いずれにせよ、ミサ曲かオラトリオか合唱交響曲であるかということは問題ではなく、作曲家の意図は「聴き手に宗教的な感情を呼び起こし、抱き続けさせる」ことにあったのです。

ベルリン・フィルは21世紀以降、「ミサ・ソレムニス」を3回上演しています(2002年、アーノンクール指揮。2007年、ハイティンク指揮。2012年、ブロムシュテット指揮)。ソリストには、ルバ・オルゴナーショヴァ、エリーザベト・クルマン、ダニエル・ベーレ、フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒという一流どころが迎えられています。

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