コンサート

コンサート解説

「ワーグナーは《パルジファル》で、音楽を極力押さえつけないよう努めている。ここでは音楽が自由に呼吸しているのだ。第3幕の〈聖金曜日の奇蹟〉ほど明朗な美しさをなし得たワーグナーの音楽は他にない」。1888年と89年にバイロイト音楽祭を訪れ、ワーグナーに対して愛憎定まらぬ思いを抱いていたクロード・ドビュッシーは、1903年にこう書きました。ワーグナー自らが「舞台神聖祝祭劇」と名付けたこの作品では、ショーペンハウアーの仏教的な教義の受容とキリスト教の救済思想が融合され、筋金入りのワグネリアンにも謎を残しています。

これまで《ニーベルングの指環》四部作、2016年には《トリスタンとイゾルデ》を指揮したサー・サイモン・ラトルが、ベルリン・フィル首席指揮者としての最後のオペラ上演で選んだ演目がこの《パルジファル》。バーデン=バーデン・イースター音楽祭にてディーター・ドルンの演出による舞台上演を行った後、ベルリンでの演奏会形式上演に臨みました。タイトルロールのステュワート・スケルトンは、すでにラトルとトリスタン役で共演。クンドリー役を歌うニーナ・ステンメは、現代屈指のワーグナー歌手としての評価を定着させています。グルネマンツ役のフランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒも、バイロイト音楽祭常連の実力を聴かせています。

かつてベルリン・フィルは、この深遠な「舞台神聖祝祭劇」をヘルベルト・フォン・カラヤンとザルツブルク・イースター音楽祭で演奏し、絶大な成功を収めています。ラトルはその輝かしい上演史において、カラヤンや前任者のクラウディオ・アバドと遜色のない、圧倒的な出来を示しました。

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