コンサート

コンサート解説

クラウディオ・アバドがベルリン・フィルの首席指揮者を退任した後、恒例となっていた5月のアバドの凱旋コンサートです。毎年趣向を凝らしたプログラミングが話題でしたが、この演奏会はポリーニとの共演が目玉となりました。両者は青年時代から共演を重ね、お互いのキャリアに影響を与え続けてきた間柄。ベルリン・フィルでも、数限りないコンサートを行ない、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集も録音しています。しかし今回取り上げるモーツァルトの「ピアノ協奏曲第17番」は、意外にもベルリン・フィルでは初めての演目となります。

アバドにとって初めての曲目と言えば、マーラーの「交響曲第10番」もベルリン・フィルではデビューとなります。彼はマーラー指揮者として名声を博し、当団でほぼすべての交響曲を取り上げてきました。しかしこの作品だけは例外で、今回ようやく円環が閉じました。

一方、《ルル》組曲は、マーラーを賛美したベルク晩年のオペラからの抜粋。作品の中核となる音列は、ルル役のソプラノによって歌われますが、今回登場するプロハスカは、ベルリン国立歌劇場の若手スター。彼女は、超絶高音がきらめくモーツァルトのコンサート・アリア《あなたに明かしたい、おお神よ》でも、美声を聴かせます。

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