コンサート

コンサート解説

クラシック音楽界において、とりわけ高い人気を誇る2人のアーティストがベルリン・フィルの定期演奏会に登場しました。一人はフランス人ピアニストのエレーヌ・グリモー。バッハからバルトークに至るレパートリーで、繊細かつ独自の解釈で高い評価を得ているのみならず、1999年にニューヨーク・ウルフ・センターを設立し、野生オオカミの保護活動に熱心に取り組んでいることでも知られています。もう一人はロシア人指揮者のヴァレリー・ゲルギエフ。1976年、カラヤン指揮者コンクールで優勝したのをきっかけに国際的なキャリアを築き、伝統あるマリインスキー劇場に新たな黄金期をもたらしました。現在、世界でもっとも多忙な指揮者の一人と呼べるかもしれません。

そのゲルギエフが、対照的な2つの演目を指揮しています。グリモーをソリストに迎えるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は、難聴が進んでいたベートーヴェンが、1807年の初演時に自らピアノのソロを務めた最後の協奏曲となりました(第5番《皇帝》は他のソリストに独奏を委ねています)。プロコフィエフの交響曲第6番が作曲されたのは、それから約140年後のこと。1947年にムラヴィンスキーの指揮によって初演されましたが、その後間もなくソ連の文化省によって演奏が禁止されてしまいます。それは、今日に至るまでその規模の全貌が明らかになっていない第2次世界大戦の悲劇と人間性の危機を、プロコフィエフが音楽で表現したがゆえでした。大胆さと極度な繊細さを兼ね備えたゲルギエフ独特の指揮で、プロコフィエフの知られざる傑作をお聴きください。 

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