コンサート

コンサート解説

1894年のドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》の初演は、音楽における印象派の誕生の瞬間でした。約10分間のこの管弦楽作品は、1876年に出版されたマラルメの詩に感銘を受けたドビュッシーにより書かれ、1912年にはダンサーのニジンスキーによるこの曲を基にしたバレエ作品が大きなスキャンダルを巻き起こしたことでも知られています。

1889年に初演されたフランクの交響曲も、フランス音楽らしくない渋い響きから、当時別の意味でスキャンダルになりました。今回はその3年前に生まれたピアノと管弦楽による交響的変奏曲が演奏されます。エマニュエル・アックスのソロにより、そのハーモニー豊かな響きをお聴きいただけるでしょう。フランクが活躍した半世紀後、パリ出身のヴァレーズはニューヨークに移住しました。1926年に初演された《アメリカ》は、ヴァレーズがヨーロッパの根の部分を否定することなく彼の新しい故郷に捧げた記念碑的な作品です。

この演奏会では、ドビュッシー、フランク、ヴァレーズの作品を核に、やはりフランスとアメリカで活躍するベッツィ・ジョラスの新作「小さな夏の組曲」、さらにオーストラリア人作曲家グレインジャーの《早わかり》が対置されています。それ以外で興味深いのは、ラヴェルのピアノ曲集《鏡》の〈鐘の谷〉がピアノの原曲と、グレインジャーの編曲による管弦楽版が同時に演奏されていることでしょう。サー・サイモン・ラトル指揮によるこの大変凝ったプログラムをどうぞお楽しみください。

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