オンライン・フェスティバル「黄金の20年代」を締めくくったのは、クリスティアン・ティーレマン指揮の演奏会です。パロディックなオペラ《今日のニュース》で自身の音楽とジャズの要素を融合させたヒンデミット、ロマン主義とモダニズムの架け橋となったブゾーニ、そして管弦楽伴奏付きの歌曲や連作歌曲集《1日の4つの時》で後期ロマン派の豊かな音楽言語を育んだR・シュトラウスという、3つの対照的な世界が披露されました。R・シュトラウスの歌曲では、ソプラノのカミッラ・ニュールントが独唱を務めています。
1920年代末に書かれたヴァイルのオペラ《マハゴニー市の興亡》は、人間と社会の奈落を私たちに突きつけます。ヴァイルはこの作品で、「現代の生活表現の完全な変化を適切な形で扱った作品」を作りたいと考えていました。ドナルド・ラニクルズの代役としてベルリン・フィルにデビューしたトマス・セナゴーが、ヴァイルのオペラ組曲に加えて、プロコフィエフ《3つのオレンジへの恋》組曲とシベリウスの交響曲第6番を指揮しています。
このプレイリストでは、「黄金の20年代」と呼ばれた1920年代、いかに型破りな作曲が行われていたかをご紹介しています。例えば、ヴァイルは石油産業についての歌曲を書き、シェーンベルクは存在すらしない映画の音楽を書き、ヒンデミットは《さまよえるオランダ人》序曲が早朝の湯治場で二流のオーケストラによってどのように演奏されたかを楽譜に書き留めました。オンライン・フェスティバル「黄金の20年代」に際して、このほかR・シュトラウス、ベルク、ブゾーニの作品をお聴きいただけます。
マリー・ジャコーがベルリン・フィル カラヤン・アカデミーを指揮する演奏会では、ハンス・アイスラーとクルト・ヴァイルの作品が上演されました。アイスラーの《クーレ・ヴァムペ》(1932年)は、大恐慌下の労働者階級の家族の苦い運命を描いた映画をコンサート用組曲に編纂したもの。ヴァイルは《三文オペラ》の作曲家としてよく知られますが、今回取り上げるヴァイオリン協奏曲(独奏はコリヤ・ブラッハー)や交響曲第2番に見られるように、多くのジャンルで活躍しました。後者はマーラーを思わせる葬送行進曲をもちます。
歴史的な映像とヴァイルの音楽を背景に、女優のダグマー・マンゼルが1920年代のベルリンの物語を語ります。「黄金の20年代」と呼ばれたベルリンの1920年代は、経済的な困窮と不安定な政治状況にも関わらず、先端的な芸術が開花しました。『光の中のベルリン』は、1928年に開催されたフェスティバルのタイトルで、ヴァイルとブレヒトが同名のキャッチーな曲を寄せています。
オンライン・フェスティバル「黄金の20年代」のオープニング公演で、キリル・ペトレンコがヴァイルとストラヴィンスキーの作品を指揮しました。上演される機会が珍しいヴァイルの1楽章の交響曲は、リストやマーラー、R・シュトラウスの影響を見て取ることができるでしょう。音楽は魅惑的で、繊細な室内楽のようなパッセージも備えています。他に演奏されたストラヴィンスキー作による1927年のオペラ=オラトリオ《エディプス王》は、ギリシャ悲劇を題材に取っており、その音楽は明晰な新古典主義で書かれています。
このコンサートのテーマとなるのは、1920年代のベルリンの伝説的なカフェハウス「モカ・エフティ」。ベルリン・フィルのメンバーが、フォックストロット、シミー、タンゴ、行進曲、ブルースバラードなどさまざまなスタイルによるダンス音楽を奏でます。ヴァイルからは《小さな三文音楽》など3曲を演奏。シュテファン・ヴォルペの「1920年代の作品からの組曲」とセイバーの「2つのジャズレッツ」は、当時の人々のジャズへの熱狂を呼び覚まします。この他、女優のダグマー・マンツェルが、ロッテ・レーニャやジョセフィン・ベイカーのテキストを朗読しています。
このプレイリストは、エリック・シュルツ監督のドキュメンタリー『ベルリン・フィル・ストーリー』に合わせて、当団の過去に捧げたものです。ヘルベルト・フォン・カラヤンからキリル・ペトレンコまでの4人の首席指揮者に加え、ズービン・メータ、ダニエル・バレンボイム、セルジュ・チェリビダッケとの収録映像をお聴きいただけます。ここではベルリンの壁の崩壊を祝う伝説的なコンサート、第1回ヨーロッパ・コンサート、そして初の教育プロジェクトなど、数々の歴史的な出来事が紹介されています。