2001年ヴァルトビューネはドミンゴによる「スパニッシュ・ナイト」
2001年のヴァルトビューネ・コンサートは、プラシド・ドミンゴ指揮によるスパニッシュ・ナイトです。サラ・チャン独奏のサラサーテ《チゴイネルワイセン》、「カルメン幻想曲」はもちろん、アナ・マリア・マルティネス独唱のサルスエラと、多彩なプログラム。シャブリエやリムスキー=コルサコフ等のスペインに霊感を受けたプログラムも含まれています。
2001年のヴァルトビューネ・コンサートでは、プラシド・ドミンゴがベルリン・フィルに指揮者としてデビューを果たしました。スターテノール歌手のドミンゴが指揮をするというと意外に思われるかもしれませんが、彼はメキシコシティの音楽院で歌とピアノに加え、指揮も学んでおり、これまでも余興という以上の実力を示してきました。スパニッシュ・ナイトと題したこの野外公演では、ベルリン・フィルから情熱的なラテンの響きを見事に引き出しています。
プログラムを見ると、まずドミンゴのサルスエラへの想いが読み取れます。サルスエラはオペレッタに似た叙情的なオペラ音楽で、スペイン語圏以外の場所で上演されることは稀(ちなみにドミンゴの両親もサルスエラ歌手でした)。ルーナ、ヴィヴェス、セラーノらのサルスエラを、ソプラノ歌手のアナ・マリア・マルティネスが輝くような声で歌い上げます。この他、ヴァイオリンのサラ・チャン独奏によるサラサーテ《チゴイネルワイゼン》とカルメン幻想曲、さらにシャブリエやヨハン・シュトラウス、リムスキー=コルサコフがイベリア半島の音楽や文化からインスピレーションを受けた作品と、多彩なプログラムになっています。恒例のアンコール《ベルリンの風》では、ドミンゴが突然マイクを持って歌い始めるという最高のサプライズに、会場は興奮の坩堝と化します。
© 2001 EuroArts Music International