コンサート

コンサート解説

クリスティン・ティーレマン指揮の当演奏会では、ギドン・クレーメルが約10年ぶりにベルリン・フィルに帰還しました。1981年5月30日、クレーメルがウィーン芸術週間においてソフィア・グバイドゥーリナのヴァイオリン協奏曲《オッフェルトリウム》を初演した当時、ソ連でもタタール出身のこの作曲家はほぼ無名でした。ソ連の作曲家協会が彼女の作品を明確に拒否したため、母国で発表の機会を失っていたためです。この作品が西側で反響を呼んだ約25年後、グバイドゥーリナはヴァイオリン協奏曲第2番《今この時のなかで》を作曲し、作品はアンネ=ゾフィー・ムターに捧げられました。バッハを意識して書かれたこの作品では、ソロ・ヴァイオリンが冒頭部分でB-A-C-Hの半音階を奏でます。フルート、クラリネット、ハープ、チェレスタ、打楽器に加え、4人のソロ・ヴィオラという特殊な編成の楽器が混ざり合い、一種のコンチェルティーノの世界を形作っています。

プログラムの後半は、ブルックナーのミサ曲第3番。1867年から68年にかけて書かれたこの作品はブルックナーの最後にして最大規模のミサ曲で、ベートーヴェンのミサ・ソレムニスやシューベルトの晩年のミサ曲の影響を受けています。ブルックナーはこの頃ウィーン国立音楽院の教師の仕事を得てウィーンに引っ越しますが、この作品はウィーンの宮廷楽団に演奏困難と判断され、初演は先延ばしとなりました。しかし、1872年6月にアウグスティーナ教会で作曲者自身の指揮で行われた初演は大成功を収め、ほどなくしてコンサートホールでも演奏されるようになります。ブルックナーを得意とするティーレマンならではの荘重な響きをお聴きください。

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