コンサート

コンサート解説

2014年1月20日に、クラウディオ・アバドが80歳で亡くなりました。ベルリン・フィルは、前首席指揮者の彼に、深い哀悼の意を表します。1月23~25日の演奏会は、彼を追悼する演奏会として行われることになりました。指揮は、アバドと40年以上にわたって友人関係にあったズービン・メータが行います。予定されていた演奏曲目に加えて、コンサートの冒頭には、マーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェットが演奏されました。

アバドはマーラー指揮者として、ベルリン・フィルでも数々の名演奏を繰り広げ、オーケストラのマーラー解釈に多大な影響を及ぼしました。今回の選曲は、それを祈念するものとなります。アバドは新ウィーン楽派の解釈でも知られ、ウェーベルンの管弦楽のための6つの小品も、ベルリン時代に数回にわたって指揮しています。その透明で繊細な音調は、アバドの音楽性に強い親近性を持っていると言えるでしょう。なおこの作品は、ウェーベルン自身の母の死を契機に書かれたもので、4曲目は葬送行進曲として作曲されています。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番は、《皇帝》のニックネームで知られる通り、ヒロイックな性格を示しています。それはR・シュトラウスの《英雄の生涯》でも同様ですが、アバドはそうした華麗で色彩感に溢れた演奏も得意としていました。しかし彼の演奏では、同時に人間味に溢れた叙情性も、決して失われることはなかったのです。

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